人工妊娠中絶

人工妊娠中絶(じんこう・にんしん・ちゅうぜつ)

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ピルの説明で使われる用語「人工妊娠中絶」について解説します。

人工妊娠中絶ってなに?

人工妊娠中絶とは、手術によって人工的に妊娠を中断させることです。

現在では手術による失敗が少ないとされており、中絶手術を受ける女性も増加していますが、それでも女性にとって心と体に大きな負担をかける手術であることに変わりはありません。

中絶手術は手術可能な時期が法律によって定められており、原則として妊娠22週目まで手術が可能です。妊娠22週目以降になると、いかなる理由があっても中絶手術は禁じられています。

そのため、もし望まない妊娠をしてしまい、中絶を希望する場合は、なるべく早く病院へ行くようにしましょう。

また、何らかの原因で避妊に失敗してしまった際には、アフターピルという緊急避妊薬を服用することも効果的です。

人工中絶の方法

人工中絶は、病院での手術、中絶薬を服用の2種類の方法があります。ここでは2種類の中絶方法について紹介します。

(1)病院で手術を受ける

ひとつ目は病院で手術を受けることで、中絶を行なう方法です。

中絶手術にかかる費用

中絶手術には、健康保険が適用されないため全額負担となります。

費用は妊娠の週数によって異なっており、妊娠初期と中期では手術にかかる費用に幅があります。妊娠初期(4~15週目)の場合なら約10~15万円ほど、妊娠中期(16~22週目)になると約15~30万円程度が一般的な費用です。

また、妊娠初期の状態でも週数によっても金額は異なり、4~5週目なら約10万円、6~7週目なら12万円、8~10週目なら14万円、11~12週目なら16万円と費用に幅があります(病院ごとに差異はあります)。

また、妊娠中期の時期も、週数が経過すればするほど費用も高くなり、体にかかる負担も大きくなります。中絶を希望する場合は早めに決断をすることが大切です。

中絶手術にかかる費用はこれ以外にも、初診費用や手術前検査の費用もかかりますので、それなりの金額が必要となります。

中絶手術が可能な時期

中絶手術を行うことができる期間は、妊娠22週目までと法律で定められています。22週目以降の中絶手術はいかなる理由があっても認められていません。

これは、性犯罪などによる望まない妊娠の場合も例外ではないため、身体にかかる負担や手術費用も比較的軽い妊娠初期に中絶を決断することが大事といえるでしょう。

中絶手術にかかる時間

実際に中絶手術を行った場合、所要時間はどれほどかかるのでしょうか。

人工妊娠中絶手術は、どこの病院でもそれほど時間のかかる手術ではなく、一般的には10~20分ほどが目安とされています。

基本的に中絶手術は日帰りが可能で手術の所要時間も短いですが、手術前に施される麻酔の影響により、手術後もぼーっとしてしまうため、2~3時間は病院で安静に過ごします。

中絶手術の痛み

中絶手術による痛みは、手術そのものよりも手術の前処置の際に感じることが多いようです。

前処置では、中絶手術の2日前から前日にかけて、子宮の入り口を広げるためにラミナリア桿という細い棒状のものを複数本挿入します。決して激しい痛みではありませんが、痛みに弱い人は事前に医師に相談しておくと、適宜麻酔が使用されることもあります。また、この前処置は医師の方針によって行うところと行わないところがありますので、気になる場合は事前に調べておくとよいでしょう。

中絶手術を行う際には必ず麻酔が打たれますので、基本的に痛みは感じないでしょう。

術後は軽い腹痛や出血が見られますが、これらの症状は中絶手術の後に大抵起こるものとされていますので、過度に心配する必要はありません。手術後、麻酔の効果が切れると、軽い生理痛のような痛みが術後から翌日にかけて続くこともあります。

術後の体の変化

中絶手術を行った当日や翌日から、軽い生理痛のような腹痛と少量の出血が見られ始めます。

これらの症状は比較的早期に治まります。症状が重い場合にも、中絶手術から1週間後には病院での診察が勧められているため、気軽に医師に相談することができます。

腹痛や出血の他に、頭痛やめまい、吐き気、体のむくみや発熱といった症状が現れる場合もあります。いずれも決して重い症状ではなく、術後2~3日程度安静にしていればすぐに治まるものがほとんどです。

様子を見ても症状が治まらなかったり、症状によって精神的苦痛を感じた場合にはすぐに医師に申し出ましょう。

中絶手術を行った後は妊娠しづらい体になるといわれていますが、実際はそのようなことは一切なく、むしろ手術によって子宮の状態がリセットされ、手術前よりも妊娠しやすい体になるとされています。

(2)中絶薬を服用する

海外では、病院へ行って中絶手術を受けることを嫌い、ミフェプリストンという経口中絶薬を使って中絶する女性が増えています。

経口中絶薬は国内では未承認

手術を受ける10分の1ほどの費用で手に入るこの中絶薬ですが、日本では未承認の医薬品であり、販売・購入は法律によって禁じられています。

日本では堕胎罪という法律があります。堕胎とは、自然分娩の前に人工的に母体から胎児を排出させる行為のことを指します。この法律によりつまり、医師の診断・決定がないままに独断で中絶薬を使って中絶をした場合は、法を破ったとして逮捕される場合もあるのです。

人工妊娠中絶が堕胎罪に当たらないのは、母性の生命健康を保護することを目的とした母体保護法という法律があるからです。これにより、医師会から指定を受けた医師ならば、法律の定める条件に該当し、本人や配偶者の同意がある場合、中絶手術を行うことができるのです。

経口中絶薬の副作用

中絶薬を服用すると副作用として、頭痛や嘔吐、めまいや発熱といった症状とともに、膣から大量出血することもあり、ひどい時には手術が必要な場合があります。

中絶薬は、そういった危険な副作用が起こりうるという理由からも服用が固く禁じられています。中絶を希望する際は中絶薬などに頼らず、病院で手術を受けるようにしてください。

参考:個人輸入される経口妊娠中絶薬(いわゆる経口中絶薬)について / 厚生労働省

妊娠が心配なら事前にアフターピルでケアを

中絶手術は、女性の心と体に深い傷を残し、たとえ無事に中絶手術を終えることができても、手術の際に受けた辛さや悲しみは決して簡単に忘れられるものではありません。

そんな辛い中絶を経験しないためにも、常に避妊に気を配りましょう。

もし避妊に失敗してしまった場合、、緊急避妊薬としてアフターピルを服用するという手段があります。

アフターピルは、性交にて避妊に失敗してしまった際に後から飲む避妊薬であり、性交から72時間以内に1錠服用し、さらに12時間後にまた1錠服用します。

そうすることで高い避妊効果が得られ、約80%ほどの確率で避妊に成功するといわれています。

しかし、避妊に失敗してアフターピルが欲しいのに、病院の休診日と重なってしまい服用が間に合わないというケースもあります。

念のために、事前にアフターピルは処方しておいてもらい、常に常備しておくと安心でしょう。

人工妊娠中絶のまとめ

人工妊娠中絶とは、人工的に胎児を母体から排出させる手術のことをいいます。

中絶手術が可能なのは妊娠22週目までとされており、それ以降の中絶はいかなる理由があれ禁止されています。

中絶手術は健康保険の適用が効かないため、診察から手術に至るまで全て全額負担となります。

中絶手術にかかる費用は妊娠の週数によって異なりますが、妊娠初期から妊娠中期にかけ、おおよそ約10~30万円ほど金額が必要になります。手術自体は麻酔を施されるため、無痛で終わることがほとんどとされています。

中絶をすると二度と妊娠できなくなるといった説も流れていますが、実際はそのようなことはなく、むしろ手術によって子宮内がリセットされた状態になり、術後は妊娠しやすい体となります。

また、術後は何日間か腹痛や膣からの出血が続きますが、これらの症状は時間の経過とともに治まっていくため、心配する必要はありません。

海外では手術を受けずに中絶できる中絶薬を飲む女性も多いですが、日本では中絶薬は未承認の医薬品となっているため、絶対に個人輸入等で購入しないでください。

中絶手術を行わないためにも、避妊にはしっかり気を配り、もし避妊に失敗してもすぐにアフターピルを服用する等して素早い対応を心掛けましょう。